EV・テスラ

テスラを売ると補助金はいくら返す?買取・下取り前の手続き

Model Yを買ったとき、国のCEV補助金を申請しました。振り込まれたときは素直に嬉しかったのですが、しばらくして「これ、途中で手放したらどうなるんだろう」と気になり、次世代自動車振興センターの資料を読み直したことがあります。

読んでみて少し背筋が伸びました。補助金を受け取ったテスラは、登録から4年間は自由に売れません。 正確には売れないわけではなく、売る前に国へ申請して承認をもらい、補助金の一部を返す必要があります。そして黙って売ってしまうと、補助金の全額返納を求められることがあると公式資料にはっきり書かれています。

買取業者や下取りの査定額を調べる前に、まずここを知っておかないと計算が丸ごと狂います。この記事では、テスラを売るときに補助金がいくら戻るのか(正確には、いくら返すのか)を、公式の計算式と早見表で整理します。2026年8月時点の情報です。

結論:4年以内なら「事前承認 + 月割りで返納」

先に全体像です。

状況どうなるか
登録から4年経過後に売る手続き不要。自由に売却できる
4年以内に売る(届出あり)事前に承認申請 → 残りの期間に応じた金額を返納
4年以内に売る(無届)補助金の全額返納を求められることがある

つまり4年というのは「絶対に手放せない期間」ではなく、「手放すなら先に申請して、残り期間分を返す期間」です。返納額は時間の経過とともにまっすぐ減っていくので、乗っていた期間が長いほど負担は軽くなります。

そもそも「処分制限期間」とは

CEV補助金には処分制限期間(保有義務期間)が設定されています。補助金の目的は、EVに実際に乗ってもらって排出ガスを減らすことなので、すぐ手放されると目的を果たせないからです。

次世代自動車振興センターの資料では、以下の行為が「財産処分」にあたるとされています。

  • 補助金の目的に反する使用
  • 譲り渡し(売却)
  • 交換
  • 貸し付け
  • 廃棄
  • 担保に供すること

売却だけでなく、廃車も、人に貸すことも、担保に入れることも対象です。ここは見落としやすいところだと思います。

期間は車種の区分で決まっていて、自家用(白ナンバー)の場合はこうなっています。

種類区分処分制限期間
乗用車普通自動車・小型自動車4年
軽自動車軽自動車(側車付二輪を除く)4年
貨物車普通・小型自動車4年
側車付二輪自動車—3年

Model 3もModel Yも普通自動車なので、4年です。起算は車両の登録です。

なお、レンタカー用(貸自動車業用)は区分が別で年数も異なります。個人で乗る分にはまず4年と考えて問題ありません。

返納額はいくら?計算式と早見表

令和4年度補正予算以降に補助金を受けた車両は、残っている期間の月割りで計算します。式はシンプルです。

補助金返納額 = 補助金額 × 残存期間 ÷ 処分制限期間

残存月数 = 処分制限期間の月数(4年=48ヶ月)− 経過月数

ここでひとつだけ罠があります。経過月数には、車両の登録月と処分月の両方を含めて数えます。たとえば2026年8月に登録して2028年8月に売るなら、経過は「24ヶ月」ではなく25ヶ月です。感覚より1ヶ月多く数えることになるので、自分で概算するときは注意してください。

公式資料に載っている計算例はこうです。

  • 補助金額 55万円 / 登録 令和5年2月 / 処分 令和5年11月 / 処分制限期間 4年
  • 経過月数は10ヶ月(2月と11月の両方を含む)
  • 550,000 × (48 − 10) ÷ 48 = 435,416円

10ヶ月しか乗っていないと、55万円のうち43万円以上を返すことになります。

テスラ(補助金127万円)の返納額 早見表

2026年度のCEV補助金は、Model 3 / Model Yの交付額が127万円です。この金額で計算すると、返納額はこうなります。

経過月数残存月数返納額の目安
6ヶ月421,111,250円
12ヶ月36952,500円
18ヶ月30793,750円
24ヶ月24635,000円
30ヶ月18476,250円
36ヶ月12317,500円
42ヶ月6158,750円
48ヶ月00円

2年乗って売ると63.5万円、3年で31.7万円を返す計算です。買取査定で「200万円です」と言われても、2年目なら手元に残るのは実質136.5万円ということになります。査定額だけを見て判断すると、60万円以上ずれます。

※ 令和4年度以前に補助金を受けた車両は計算方法が違い、原則として売却額に補助金比率を掛けて算定します。自分がどちらに当たるかは交付決定通知で確認してください。

手続きの流れ(売る前に必ず)

順番が決まっています。車を引き渡してから申請ではありません。

  1. 売却・廃車の前に「財産処分承認申請書」を次世代自動車振興センターへ提出する(様式は補助金を受けた年度によって違います)
  2. センターから財産処分の承認通知と報告書が届く
  3. 承認を受けてから、実際に車両を売却・廃車する
  4. 「財産処分報告書」を提出する
  5. センターが返納額を算定し、「補助金返納額のお知らせ」が届く
  6. お知らせから20日以内に返納する

公式資料でも「手続きの開始から完了までは時間を要するので早めの申請を」と案内されています。買取業者との商談を進める前に、まず申請を出しておくのが安全です。

見落としやすい3つの落とし穴

1. 無届で売ると全額返納のリスク

センターは定期的に、補助金を交付した車両の保有状況を調査していると明記しています。承認を得ずに処分制限期間内に処分したことが判明した場合、補助金の全額の返納を求めることがある、と。

月割りなら63.5万円で済んだものが127万円になる可能性がある、ということです。バレないだろうという判断は割に合いません。

2. 乗り換えると、次の車の補助金が止まる

これがいちばん厄介です。公式資料にはこう書かれています。

処分制限期間内に車両を処分して、新たに補助対象車両を購入する場合、処分した車両の補助金返納が完了するまで、新たな車両への補助金の交付はしません。

つまり「Model 3を売ってModel Yに乗り換える」「他社のEVに買い替える」といったEVからEVへの乗り換えでは、前の車の返納が終わるまで、新しい車の補助金が下りません。納車のタイミングによっては資金計画が大きく狂います。乗り換えを考えているなら、返納手続きは最優先で動かすべきところです。

3. 自治体の補助金も別枠で保有義務がある

国のCEV補助金と、東京都のZEV補助金のような自治体の助成金は別の制度です。それぞれに処分制限があります。

東京都(クール・ネット東京)の場合も、処分制限期間内(3年または4年)に車両を処分するときは原則として処分前の事前申請が必要で、無届の処分は条件違反となり、助成金全額の返納や違約金を請求する場合があるとされています。

国と都の両方から補助金を受けているなら、返納も2件分になります。金額が大きいだけに、売却前にそれぞれの窓口へ確認してください。

返納しなくていいケースもある

自分に責任のない事情なら、返納が不要になる場合があります。公式に挙げられているのは次の3つです。

  • 天災などにより走行不能となり抹消処分した場合
  • 過失の無い事故により走行不能となり抹消処分した場合
  • その他センターが特に認める場合

ただしこの場合も、財産処分承認申請書と証明書類を提出して承認を得る必要があります。「事故で廃車になったから何もしなくていい」ではない点に注意してください。

それでも4年を待たずに売ったほうがいい場面

返納があるからといって、4年間じっと持っているのが常に得とは限りません。判断はこの式でします。

実質の手取り = 買取額 − 返納額

返納額は月ごとにまっすぐ減っていきますが、買取相場も同時に下がっていきます。どちらの下がり方が速いかで答えが変わります。

一般に、EVの中古相場はモデルチェンジや新車価格の改定で階段状に落ちます。つまり「返納額はなだらかに減るが、相場はある日ガクッと落ちる」という非対称があるわけです。大きな値下げや新型の発表が控えているなら、返納額を払ってでも先に動いたほうが手取りが多い、という結論はふつうにあり得ます。

逆に、あと数ヶ月で4年を迎えるなら、待つ価値は大きいです。48ヶ月目まで待てば返納はゼロになります。

なお、乗り換え先でもう一度補助金を使うつもりなら、次の車の申請期限にも注意してください。国のCEV補助金は登録から原則1か月しか猶予がなく、2026年度分は12月に受付終了の見込みです(テスラ補助金はいつまでにまとめました)。返納手続きと新車の申請が同時進行になるので、スケジュールは早めに組んだほうが安全です。

テスラの買取価格が下がりやすい構造的な理由

査定に出す前に、なぜ思ったより安い数字が出るのかを知っておくと交渉の見方が変わります。テスラに限らずEV全般に共通する要因が4つあります。

1. 新車価格そのものが動く

テスラは年に何度も価格を改定します。新車が下がれば中古の上限も自動的に下がるため、買った時期によっては相場の下落が急に見えます。国産車の「値引き」と違い、定価が動くのがEVの特徴です。

2. 補助金が中古車価格の天井を押し下げる

ここは意外と語られませんが、影響が大きい部分です。国と自治体の補助金を合わせると、条件次第で新車が実質200万円近く安く買えます。買い手からすれば「その値段以上の中古を買う理由がない」ので、補助金が手厚いほど中古の上限が抑えられます。補助金は買うときに有利で、売るときには不利に働く、という二面性があります(補助金の金額はテスラ補助金2026の記事にまとめています)。

3. バッテリーの状態を値付けしにくい

エンジン車の「距離と年式」に当たる指標が、EVでは劣化度です。ところが劣化の測り方が業者ごとにバラバラで、判断がつかない業者はリスク分を差し引いた安全側の金額を出します。業者によって査定額の差が開きやすいのはこれが理由です。

4. 一般のディーラーはEV在庫を持ちたがらない

下取りした車を自社で売り切れるかどうかで、下取り額は変わります。EVの販売実績が少ない販売店ほど、引き取ってから売れ残るリスクを避けて低めに出します。

この4つを踏まえると、1社の下取り額だけで判断するのは危険だと分かります。特に3番目の理由から、テスラのようなEVは複数社に見せたときの金額差が大きく出ます。ディーラーの下取り額を「基準値」として持ったうえで、買取専門の査定と比較するのが現実的な進め方です。

なお、一括査定を使うと業者からの連絡はそれなりに来ます。そこは正直に書いておきます。連絡の手間と数十万円の差を天秤にかける、という話です。

よくある質問

4年経てば手続きなしで売れますか?

はい。処分制限期間を過ぎていれば財産処分の手続きは不要で、返納も発生しません。起算は登録日なので、車検証で登録年月を確認してください。

返納額は自分で計算するのですか?

正式な金額はセンターが算定し、「補助金返納額のお知らせ」で通知されます。ただし計算式は公開されているので、売却の判断材料として自分で概算しておくことはできます。上の早見表がその概算です。

廃車でも返納が必要ですか?

廃棄も財産処分に該当するため、原則として手続きが必要です。ただし天災や過失のない事故で走行不能になった場合は返納が不要になる余地があります。いずれにせよ申請と証明書類の提出は必要です。

事故で全損になった場合はどうなりますか?

過失の無い事故により走行不能となって抹消処分した場合は、返納が不要となる扱いがあります。証明書類を添えて財産処分承認申請書を提出し、センターの承認を得てください。

国と自治体、両方に返すのですか?

国のCEV補助金と自治体の助成金は別制度なので、それぞれに処分制限と手続きがあります。両方を受給しているなら、両方の窓口に確認が必要です。

売る前と後、どちらで申請しますか?

必ず売る前です。承認を得てから車両を処分し、そのあとに報告書を出す流れになります。順番を間違えると無届の処分と扱われかねません。

あわせて読みたい


参考・出典(2026年8月時点)

  • 一般社団法人 次世代自動車振興センター「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金 応募要領 III. 計画変更・財産処分」(処分制限期間の区分表、返納額の算定方法、手続きの流れ、無届処分時の扱い)
  • 一般社団法人 次世代自動車振興センター「CEV補助金の計画変更、財産処分の手続き」
  • クール・ネット東京(東京都環境公社)ZEV車両購入補助金の処分制限に関する案内

補助金の交付額・様式・手続きは年度によって変わります。売却を決める前に、必ず交付決定通知とセンターの最新情報をご確認ください。

あわせて読みたい